2011年12月30日金曜日

『装苑』2月号・林央子さんが考察するガ-リ-カルチャー



蒼井優さんが表紙の『装苑』今月号の78頁、「林央子さんが考察するガーリーカルチャー」の中でなんとQUICKCANALのZINEをご紹介していただいてます!しかも同じ頁には野中モモさん翻訳の『ガール・ジン』や、林さんが対談されたばかりのアーティスト、谷口真人さん、CDのアートワークや雑誌のイラストは勿論、御自身で執筆もされて幅広くご活躍されている小林エリカさんも一緒に掲載されていて深く感激しております。Her Gohst Friendもとても気になっていたバンドですし、石原海さんのブログも、この頁がキッカケで知る事ができました!

もし、林さんがディレクションされた『BABY GENERATION』が90年代に無かったら、私は今こうやって物を作ったり書いたりしていなかったかもしれません。当時の私は女の子なのに、写真やアートや音楽が好きで、勿論服も大好きで、でもそれは総て自分の精神を反映した物達、なのだけれど周囲にはなかなか理解されなかった。好きな物達を言葉にする事は私自身には、とてもムツカシク、うまく伝えれない自分にコンプレックスを、歯がゆさを送り続ける日々でした。だから『BABY GENERATION』で紹介された人達には、本当に心が掬われたし、勇気をもらえた気がします。私は音楽が大好きなので、SONIC YOUTHは勿論知っていたしミュージシャンとしてのKim Gordonは日本でも広く知られていたけど、アートにおける分野、アーティストとしてのKim Gordon、更には女性として生きるKim Gordon、をフォーカスしたのは林央子さんであって、だから、ほんともう私の原点にいられるような方なのです。林さんが書かれた最新作『拡張するファッション』でも、彼女たちが
フューチャーされていますが、対象となるアーティスト達を、編集者として冷静に見つめる中に、暖かく優しい眼差しがあって、それはインタビューを受けているアーティスト達からも感じられ、信頼されているのだなぁ、と思います。

当時子供でしたが、現役女子高生だったHIROMIXさんにも衝撃を受けたものです。その衝撃が現在も進行して続いているなんて、本当にとても素敵なこと。「ガーリー」っていうのは既存のステレオタイプの「女の子らしさ」とは違って、男の人の中にも多くあるし、今とても活性化している言葉なんだと感じます。ほぼ同時期に起こった「ライオットガール・ムーブメント」についても、私自身もシングルマザーなので、おなじ頁にある野中モモさん翻訳の『ガール・ジン』についての社会における女性像も、これを機にどんどん読まれて広く理解される事を願っています。

すごく思いのたけを書きばしってしまいましたが、「林央子さんが考察するガーリーカルチャー」の頁に、少しだけでも私のZINEが仲間入りできたのは本当にうれしい事です!私は本当に「紙」というテクスチャーが大好きで、本の見開きに自分のZINEが載っていた時は本当に感動しました。一生宝物にします。私以外のラインナップも充実していて読み応えたっぷりな一冊ですので『装苑』を見かけたら是非手にとってくださいね!

では、皆様良いお年を。

2011.12.30 
QUICKCANAL 財津

2011年12月18日日曜日

STANLEY DONWOOD












「RADIOHEADの第六のメンバー」と聞くと即座にNigel Godrichが出てくる人が多いかと思います。私もそのうちの1人ですが「RADIOHEADの第六のメンバー」と聞いてNigel Godrichと同時にもう1人浮かんでくるのが、RADIOHEADのアートワークを手掛け続けるStanley Donwoodこの人です。


Stanley Donwoodはアート・カレッジ時代にDr Tchock(一応補足しておきますがThom Yorkeの変名で、もっと補足するとStanley DonwoodもDan Rickwoodの変名にあたります。) と出逢い「My Iron Lung EP」以来ずっとRADIOHEADのアートワークを担当しています。「第六のメンバー」で彼を想い浮かべるのは、ただ単にミュージシャンとそのアートワークを請け負ったデザイナー、というより、このStanley Donwood自身も非常にポリティカルに且目していて、彼の視線の先のビジョンはRADIOHEADが描く世界とシンクロしている関係性が窺えるからです。

彼がよく用いる色彩に、赤、青、黄色、がありますが、とてもくっきりとした鮮やかな色なのにカジュアルさは皆無で胸がざわめくのは何故なのでしょうか?警鐘的なプロパガンダはRADIOHEADの音楽ととてもよく似ていると感じます。


Donwoodの作品は直接的な文章で表現される事も多いです。物語になっている作品もおおく、公式サイトで公開されていたり、本として刊行されていたりもします。(SLOWLY DOWNWARD MANUFACTORY http://www.slowlydownward.com/) このサイトではちょっとばかり高価ですが、彼の拘りがあるフォーマットのアート作品も購入できますし、アマゾンで売り切れになっているこちら ↓ もお手頃な価格で販売されています。




イギリス南部のCORNWALLの洪水を目の当たりにしたのが制作のきっかけになった「LONDON VIEWS」は近年の代表作です。Thom Yorke『The Eraser』のアートワークにも起用され、アルバム同様大きな賞讃を浴びました。



おなじくRADIOHEADの『Hail to the Thief』のジャケットに使われたアートワークですが、描かれている言葉の意味を1つずつくみ取っていくと、攻撃的なメッセージもあるのですが、丁寧に羅列され言葉達は相対的にスマートにも見えます。




“Stanley Donwood”という1アーティストとして“RADIOHEAD”という世界的なバンドの印象がついてまわる事はどうなんだろう?と感じる所ですが、ご本人はいたって思慮深い体制で制作活動をされています。Thomとは社会活動も一緒に行っていて模範的な“ART”という観念への拘りはあまりないように思えます。話題になったこの新聞もThomと一緒に街頭にたって配布されていましたね。



「ある時、Thomと2人で登山しそこから見える景色をまっ白いカンヴァスと青だけで、とにかくひたすら描き続けた。」という彼自身のインタビューを読んだ事がありますが、たしかに燃えるような「青」の色彩が彼の一番の特徴ともいえるかもしれません。彼のクリエイティブ全体に、畏怖のような感覚もおこすこの青が、白や色んな色彩に覆われて見え隠れしているような気さえします。


Stanley DonwoodとそれにまつわったRADIOHEADについて述べてきましたが、音楽リスナーとしての私はというと、RADIOHEADとは昔から少し距離があります。本来はアルバムを曲順におって通して聞く事が大好きなのですがRADIOHEADに限っては曲単位で聞く事が多いです。RADIOHEADのアルバムを通して聞いてしまうとロジックが通り過ぎてしまうというか、思考を持ちすぎてしまうというか。自分がもつ感覚としては、ずっと先生に怒られている気分に陥ってしまいます。学生時代、私自身は怠けたつもりもなく頑張ったのに、変に奇抜で目立ってしまい、そのあげくに全校生徒の前で叱られてしまった記憶郡とリンクするというか…。「あなたの言う事は確かに正しい」と解っていても、考えさせられる音楽ならば「LOSER」の惨めさの方が自分にしっくりと馴染んではるかに心地いいと思っています。だからといって音楽的に嫌いかと言われればそんな事はまったくなくて、フラットな思考をもって聞くと本当に良い曲を書くバンドだと思います!最近RADIOHEADのライブ映像をみたら、Jonny GreenwoodのギターやPhil Selwayのドラミングのすごさは顕著で、技巧的な事も含め、メンバーのバランスや呼吸も見事で、今更ながらですがRADIOHEADというバンドが何故こんなにも全能的に語り続けられるか、という気持ちもわからないでもないと思いました。RADIOHEADの音楽が本当に好きな人達はもっと真摯にディスクローズされていると思うのでここに書かなくても良い事かとも思いますが、自分のRADIOHEADというバンドへの”そのスタンス”を考えればそれこそMP3で曲ごとにダウンロード購入したらいいのに、私がRADIOHEADのオリジナルアルバムやボックスまでフィジカルに所持しているのは、このStanley Donwoodの“RADIOHEAD”というアート・プロジェクトの総括を手にとって眺めるという事ができる、という事に尽きるのだと思っています。